移りゆく季節の美しさを感じる「菓子匠 喜多屋」

更新日:2019年2月23日

喜多屋 店内

和菓子職人の中村弘一郎さんと、洋菓子職人の中村由利子さん 「いらっしゃいませ。こんにちは」と、にっこり笑顔で出迎えてくれたのは、3代目で和菓子職人の中村弘一郎さんと、洋菓子職人の中村由利子さん。お二人はご兄妹だそうです。言われてみれば、笑ったお顔がよく似ています。

 菓子匠 喜多屋さんの創業は1933年。店内には、100種類ほどの和菓子と洋菓子が並んでいます。まだ洋菓子が珍しかった頃に、先々代であった祖父が、「和菓子だけでなく、洋菓子のおいしさも知ってもらいたい」との思いではじめたのがきっかけだったといいます。今ほど原材料の調達も簡単ではなかった時代ですから、きっと多くの苦労もあっとことでしょう。

 当時はそんな“粋”な想いが溢れた菓子屋さんがたくさんありましたが、今では全国的にもすっかりと珍しくなってしまったような気がします。しかし大河原町では、当時のスタイルで営業を続けるお店が多くあるようで、懐かしくもあり嬉しい気持ちになります。

 喜多屋さんの菓子は、すべてが手づくり。和菓子に欠かせない小豆は厳選した北海道産で、店の奥にある工房で丁寧に炊き上げています。艶々と輝く餡子は、甘さは控えめで上品な味わいです。また、洋菓子には風味豊かなバターをたっぷりと使用するなど原材料にもこだわりを感じます。

雁月 ふと、「雁月」という気になる菓子を見つけました。お話を伺うと「雁月(ガンヅキ)」は、この辺りでは古くから知られる郷土菓子だといいます。小麦粉を練り上げてもっちりとした羊羹タイプの「くるみ雁月」と、ふっくらとした蒸しパンタイプの「かすてら雁月」の2種類があり、農作業の合間などにも気軽に食べられる菓子として親しまれているそうです。優しい甘さとしっかりとした食べ応えは、女性だけでなく男性にも人気があるそうですよ。

 また、町内最古の歴史ある大高山神社にある、国指定重要文化財で青銅製として東北最古の鰐口(ワニグチ)をモチーフにした「大河原最中 鰐口(つぶあん・ごまあん・桜あん)」は、弘一郎さん考案の新作お菓子。特に、桜の花びらを使用した「桜あん」はお薦めの逸品です。梅酢でつけた桜の花びらの香りがふんわりと、優しく口いっぱいに広がります。大河原町の桜を楽しみながら、ぜひ味わってみては如何でしょうか。

洋菓子・ケーキ そのほか、30年間も注ぎ足して使用している秘伝のシロップで漬けた自家製レーズンをたっぷりと使った「フルーツケーキ」などもお薦め。夏には地元産のリンゴやブルーベリーなどを使用した期間限定のゼリーも登場します。何度、訪れても飽きない楽しさです。

 大河原町とお菓子について、「大河原町の桜を見に来た方にも喜んでもらえたらと思い、桜の時期は“桜のお団子”なども季節限定でつくっています。移り変わる季節の美しさや、旬の食材のおいしさを菓子で伝えられたら嬉しいですね」と素敵な思いをお聞きしました。

お問合せ先

(有)菓子匠 喜多屋

宮城県柴田郡大原町大谷字末広55
営業時間:8時30分~18時30分
TEL:0224-52-1577
定休日:無休