伝統の味を守り続ける「晒よし飴」

更新日:2019年2月23日

晒よし飴本舗・店内

市場富子さん

 「まるで淡雪のように一瞬で溶けていく、不思議な口どけの飴菓子がある」とのうわさを聞き、元祖晒よし飴本舗 市場屋さんを訪ねました。小さな店先の奥から、控えめに顔をのぞかせてくれた市場富子さんにお話を伺いました。

 市場屋さんは創業元禄7年の老舗店。五代将軍徳川綱吉の時代から、仙台藩祖伊達政宗公家臣の旧伊具郡角田町の臥牛(がぎゅう)城主石川公の御用菓子司を勤めていたといいます。あるとき「何か珍しい菓子を作ってみよ」との仰せに、大沼の岸辺に茂っていた葦の束を見つけて閃いたのが始まりです。

 「晒よし飴」は、光沢のある絹糸を束ねたような姿をしています。空気を含んだ飴の繊維は、口どけ滑らかで優しい甘みがふわりと広がるのが特徴です。

 この飴は、機械をいっさい使わずに、すべて職人の手によってのみ作られています。その製法は一子相伝により秘伝の技を守り続けているといいます。外気の気温や湿度に合わせて、一日のなかでも朝と夕ではこまめな調整が必要だそう。経験を積み重ねなければ出来ない、まさに究極の職人技なのです。

 

晒しよし飴 極限まで引き延ばし幾重にも重ねた飴は、内部に蜂の巣状の空洞ができることで、「晒よし飴」ならではの口どけをつくり出します。そのとき飴の繊維は、なんと120本ほどになるといいます。

 また飴は、湿気に弱く気候の影響を受けるため、秋から冬にかけてのカラッとした気候の時期にしか作ることができません。そのため、9月20日から5月頃までの限定生産・販売となっています。

 一度食べたら忘れられない不思議な食感は、口コミで広がり、今では北海道から沖縄まで全国から買いに来られるお客さまもいらっしゃるそうです。その一方で、ご近所の方々からは「いつまでも変わらない、懐かしい味」と親しまれているようです。
 「いつの間にか子どもが食べてしまい、無くなってしまった!なんておっしゃるお客さまもいらっしゃいました。そんなお声を聞けると、大人だけでなく、お子さんにも喜んでもらえていることが、とても嬉しく思います。これからも伝統の味を守り繋いでいきたいですね」

 

市場屋さんのお店

 市場屋さんのお店は、白石川に架かる尾形橋のすぐ近く。春にはお店の目の前に美しい一目千本桜の並木を望むことができます。「ひと気のない静かな早朝に、船岡駅から大河原駅まで歩いて眺める桜は本当に絶景です。雪化粧をまとった蔵王連峰と、川面に映る桜が息をのむほどの美しさですよ」と、富子さんは微笑みながら教えてくれました。

 

お問合せ先

元祖晒よし飴本舗(株) 市場家

宮城県柴田郡大河原町字町251
営業時間:9時00分~19時00分
TEL:0224-52-1258
定休日:元日、夏季は不定休