2025年10月21日 町長コラム(広報おおがわら令和7年11月号「さくら並木」)

『米騒動』や『地方創生』に見る地方と都市の意識のギャップ。
~町村の現状認識と求められる自立に向けた共創への挑戦~

 来る11月19日に、NHKホールを会場に『全国町村長大会』が内閣総理大臣をお迎えして(予定)開催されます。先日、この大会で発表する大会決議や重点要望を決定する理事会(町村会長会議)に出席してまいりました。我々町村長は、国と地方の信頼関係の下、改めて総意をもって自主的・自立的に施策を展開する決意を共有したところです。
 全国町村会には、行政・財務・経済農林の3つの政務委員会がありますが、私は経済農林委員会の副委員長を務めています。この委員会の中で、委員長(福井県会長)から出された提案に基づいて活発な議論がなされました。具体的には、いわゆる『米騒動』の米価格・生産・流通の議論だけで終わっては農業の持続的な発展や農村振興の確立につながらないのではないか!と発言し、全委員の意見や考え方を聞きたいとのことでした。
 詳しい意見の紹介は、この紙面ではかないませんが、私の日頃から感じている受け止めについて発言させていただきました。宮城県や本町の現状に触れた後、果たして都市に暮らす人達は、農業の持つ重要な役割や農業の持続的な発展の価値について正しい理解や共感を持っているのでしょうか!国への働きかけと共に、地方と都市の共創意識の醸成にもっと目を向けるべきではないか!とし、地方創生に通じる視点にも触れながら発言させていただきました。最後の発言者でしたが、問題提起にはなったと感じています。
 全体的なまとめとしては、地方創生から10年が経過し、改めて農山漁村地域を多く抱える町村からは、人口減少・働き手不足等の厳しい悲鳴が聞かれました。一方、町村は、文化・伝統の継承や食料の供給、国土保全や脱炭素社会への貢献等重要な役割を担っているとの声も上がりました。全国町村会では、これまでも地方と都市の共創の必要性や地方創生の実現を訴え続けてきましたが、残念ながら一極集中の是正には至らず、国土分散型の国づくりも実現していないとの総括でした。
 また、地方における財政力の違い等による地域間格差の拡大が深刻な問題となっています。人口減少が大きな要因ですが、若者や女性に選ばれる地域づくりの実現が強く求められていると受け止めるところです。対策としては、産業の地方分散や所得格差の縮小が不可欠であり、稼げる産業の育成が重要です。農業で言えば6次産業化や観光業等の地域資源の活用による地場産業の付加価値を高める工夫が大切です。この10年の振り返りをもとに、多様化する価値観を受け入れて、官民が連携しながら自立し発展する町でありたいと改めて強く感じたところです。
 しかしながら、『地方こそ成長の主役』、『地方あっての国』という意識については、やはり地方と都市に大きなギャップがあると思えてなりません。この意識の差を乗り越える術として、都市からの移住や交流の促進、多様な地域資源とデジタル技術を活用したイノベーションの推進、ヒト・モノ・カネ・情報の対流促進等が掲げられています。本町としても、積極的かつ先進的に挑戦し続けてまいる所存です。
                                           (10月17日記)

 

2025年10月21日 | コメント(0)

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