2025年7月28日 町長コラム(広報おおがわら令和7年8月号「さくら並木」) New!

 梅雨も明け夏本番を迎えるこの時期に、『令和8年度政府予算編成及び施策に関する要望』の実践活動が始まります。これに先立ち、地元選出の国会議員に対する説明会を開催し、ご意見を伺うと共に要望活動への協力を要請することとしています。県町村会としての最も重要な政務活動であり、意識の共有を図る大切な機会ともなっています。
 さて、『地方創生』が開始されてから10年が経過し、多くの地域活性化策や移住促進への取組が展開されました。しかし、一部に成果が生まれたものの総じて人口減少や東京一極集中の流れを変えるには至っていないところです。特に自治体規模の小さい町村にとっては、大幅な人口減少と同時に進む少子高齢化に歯止めはかからず、担い手不足や税収減少に拍車がかかっています。
 同時に、文化・伝統の継承、食料の供給、国土保全、脱炭素社会へ貢献する農山漁村地域を守るためには、新たな『地方創生』による大胆な政策を実施し分散型の国づくりを進める必要があるものと認識しています。しかし、残念ながら、『地方創生』が単なる地方の活性化策である域を出るまでには至らず、都市と地方の拡大ばかりが目に付きます。
 この6月13日に、内閣において官民連携を強化する姿勢を全面に打ち出した『地方創生2・0基本構想』が決定され5つの柱が示されました。⑴安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生。⑵稼ぐ力を高め、付加価値創出型の新しい地方経済の創生。⑶人や企業の地方分散。⑷新時代のインフラ整備とAI・デジタル等の新技術の徹底活用。⑸広域リージョン連携(自治体の区域を越え経済の観点でも官民連携のプロジェクト)。以上の5つです。
 当然、『地方創生』の理念や基本的な考え方は、全ての自治体に受け入れられています。また、新しい地方経済・生活環境創出本部の設置に伴う交付金についても、各自治体の自主性や創意工夫が活かされることとされています。加えて安定的かつ長期的な財政支援となる地方財政措置も強く期待されています。
 政府は、『地方創生2・0』は、単なる地方活性化策ではなく、日本全体が活力を取り戻す経済政策であり、国民の多様な幸せや楽しい地方を実現する社会政策であるとしています。また、都市から地方への移住・交流を拡大し、デジタル技術を活用しながら地域で暮らし活躍できる地方の活性化策として、『二地域居住』を推進するとしています。
 しかし、どうでしょうか。『地方あっての国である』とか『地方こそ成長の主役』と叫んでも、今も地方の若者は都会を志向するばかりです。また、都会に暮らす人々は果たして、こういった地方の有り様に共感を覚えているのでしょうか。国民の求める価値観が益々多様化する中で、都市と地方の格差が広がる二項対立の構図がどうしても気になります。
 『地方からの国づくり』の意義を信じつつも、みんなで力を合わせ連携する意識の共有が図られない限り、都市と地方のギャップを埋める力にはなり得ないと思えてなりません。
                                           (7月18日記)

2025年7月28日 | コメント(0)

お問い合わせ先