2024年7月24日 町長コラム(広報おおがわら令和6年8月号「さくら並木」)

『2025年問題』を考える。
~社会保障の見直し、人材の確保、DXの推進~

 

 目前に迫った人口の超高齢化がもたらす社会問題である『2025年問題』について、改めて考えてみたいと思います。
 団塊世代が全て75歳以上(後期高齢者)となることで、特に社会保障費(年金・医療・介護)の負担がこれまで以上に増大します。そして、この問題が社会全体に及ぼす影響としては、次の3つが挙げられています。(1)社会保障費の増大に伴う現役世代の税の負担増。(2)医療・介護サービスの供給不足。(3)国内経済(市場)の縮小です。また、働き手(生産年齢人口)の減少により採用難や事業継承の困難化が益々深刻になるとされています。
 具体的には、平均寿命の延伸に伴い認知症や病気が増加し医療・介護の需要は高まります。一方、働き手の減少は現役世代一人あたりの税負担が増大することを意味します。後期高齢者の医療・介護費は、公費負担の見直し(現役世代並みの所得者の2割負担)もありましたが、9割近くは社会保障費ですので、現役世代が支払う税金によって賄われています。労働力不足は当然のことながら経済成長に悪影響を及ぼし、国内経済(市場)は縮小の一途を辿ることになります。
 さらに、経済産業省の資料によれば2030年には、家族介護者の4割が働きながら家族の介護を行うビジネスケアラーになると試算されているそうです。働き手の生産性が維持向上されるためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の推進が必須条件となります。つまり、企業においては、商品サービスの付加価値向上にもデジタル化の活用が極めて重要な視点となっているのです。
 さて、私は薬剤師でもありますが、この『2025年問題』とリンクして、果たしてどのような取組が求められるのかを考えてみました。超高齢化社会にあっては、在宅医療の需要が増大することは当然です。例えば、入退院を繰り返すような患者さんには、病院薬剤師と薬局薬剤師が連携することでより細やかな薬物治療によるサポートが可能になります。職能の発揮とともに地域医療への参画意識が大切になり、その取組が地域住民の健康寿命を伸ばす対策につながることが求められます。薬剤師としても『2025年問題』への対応をきっかけに意識改革が求められていると受け止めているところです。
 ちなみに『2040年問題』というものもありますが、団塊ジュニア世代が65歳以上となり総人口に占める高齢者の割合が約35%に達すると同時に、少子化による労働人口が急減する問題のことです。この問題に有効な対策が施されない限り、日本経済や社会保障の維持が危機的な状況に陥ることは間違いありません。
 実は、市町村でも労働力不足の状況が差し迫っており、職員体制の整備や人口構造の変化に対応できる財政の在り方が既に課題となっています。本町においても子育て・医療・介護・インフラ・防災などを取り巻く環境の変化に留意して、『2025年問題』に対しても必要な対策を早期に計画してまいる所存です。

                                               (7月19日記)

2024年7月24日 | コメント(0)

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