成人式 式辞 (20歳を迎えた成人の皆さんへ)
本日、晴れて成人式を迎えられた皆さん、誠におめでとうございます。
未来への夢と希望を持ち、そして、若さあふれる新成人の皆さんに、大河原町民を代表し、心からお慶びとお祝いの言葉を申し上げます。また、今日のよき日を迎えるにあたり、皆さんを愛情深く育てて来られました、ご両親をはじめ、ご家族の皆さまにも、お慶びを申し上げます。更に、ご来賓の皆さま方におかれましては、ご多用中にもかかわらず、ご臨席賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、今年、本町で成人式を迎えられる新成人は、男性が百九人、女性が百十七人、合計二百二十六人であります。改めまして心よりお祝い申し上げます。
新成人となった皆さんは、新たな未来へ向けスタートすることになりますが、皆さんにとって、「成人の日」とはどのような意味を持つのか、そして、今後どのような人生を歩んで行こうとしているのかを少し考えていただきたいと思います。
私は、それは生涯における大きな節目であり、これから皆さんが大人として成長していく過程における第一歩になると考えます。
ところで皆さん、日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一という人物をご存知でしょうか。来年の大河ドラマの主人公に決定している方で、武蔵の国の百姓の家に生まれ、青年期には尊王攘夷派に加わり、その後幕臣となり、大隈重信の説得で大蔵官僚となりました。後に銀行の指導や、多種多様の会社設立にたずさわり、その数は五百社以上と言われています。
また、渋沢は実業界の中でも、最も社会貢献活動に熱心で、東京市からの要請で、現在の東京都健康寿命医療センターである養育院の院長をつとめたほか、東京慈恵会、日本赤十字社などの設立などにも携わり、関東大震災後の復興のために、「私利を追わず、公益を図る」精神で、寄付金集めなどに奔走しました。
はたして、彼をここまで動かしてきたものは何だったのでしょうか。それは、渋沢栄一の名言「夢七訓」で、ご理解いただけると思います。
(夢七訓)
夢なき者は理想なし
理想なき者は信念なし
信念なき者は計画なし
計画なき者は実行なし
実行なき者は成果なし
成果なき者は幸福なし
ゆえに幸福を求むる者は
夢なかるべからず
彼の思考の原点は、ここにあるのだと思います。
若い頃から、常に前向きに物事を考え、実行してきたからこその言葉であり、幸福を求めるならば、夢を持たなければならない、と説いています。
夢はビジョンになり、ビジョンは次の目標になっていくと考えます。皆さんも、真実を見つめ、理想を追い求め、何事にもチャレンジと努力の精神を持ち、そして失敗を恐れず果敢に自分の夢の実現に挑戦してください。
これから皆さんは、それぞれの夢や理想に向かい、道を切り拓いていくわけでありますが、同時に、大人としての責任が生じ、うまくいかないこともあるでしょう。迷ったとき、苦しいときは、ともに過ごした仲間、そして百年もの間、命を紡いできた一目千本桜のふるさと大河原町を思い出してください。
今年は、日本でオリンピック・パラリンピックが開催されます。このような記念すべき年に、成人としての第一歩を踏み出す皆さんの活躍が非常に楽しみです。
今、我が国は人口減少、少子高齢化が加速度的に進んでいます。これらの現象は、社会経済に大きな影響を及ぼすことはもちろん、「消滅可能性都市」という衝撃的な言葉も生まれました。
そんな中にあって、私たちの町、大河原は令和元年にスタートした新しいまちづくり計画を基に、様々な施策を展開しているところです。計画の中の、まちの将来像を目指すコンセプトの一つに、「ブランド化による選ばれる先進のまちづくり」があります。
まちを未来へと繋ぐため、まちの様々な資源を磨き、信頼・誇り・情報発信の向上に結び付け、総合的なブランド化により、誰からも「選ばれるまち」の実現を目指しています。
また、社会的包摂、あるいはソーシャル・インクルージョンと言われている、社会的に弱い立場にある障害者や高齢者を含めた、町民ひとりひとりが地域社会の一員として安心して暮らせるよう、「人と人がつながる」「人と地域がつながる」しくみづくりを大切にしていきたいと考えております。
さて、今年も新成人代表の方々で、成人式を意義のあるものにしたいという願いから、実行委員会を立ち上げ、これまで準備をされてきたと伺いました。委員の皆さん、本当にお疲れさまでした。
結びに、大人社会の仲間入りをされた新成人の皆さんの、輝かしい前途と、本日、お集まりの皆さま方のより一層のご健勝とご多幸を祈念し、私の式辞といたします。
令和2年1月12日
大河原町長 齋 清志