~災害対応・人口推移・地域医療の在り方から見た本町を取り巻く現状と課題~
台風19号の襲来から1か月余りが過ぎましたが、被災された住民の皆様には改めて心から御見舞い申し上げます。被災の状況や国・県の支援制度も明らかになる中で、今後は被災者の生活支援への対応と復旧工事への早期着手に努めてまいります。さらには、り災ごみの広域処理などの新たな課題へも柔軟に対応し、被害の大きかった丸森町などへの人的支援も継続して行っていくこととしています。
そして、防災・減災が『人の生命(いのち)を守る』取り組みであることを自覚し、今回の災害対応の検証を進めながら本町の抱える課題の解決に向けて努力してまいる決意をしたところです。町民の皆様にはご理解とご協力を切にお願い致します。
次に、5年目を迎えている地方創生が目指す人口減少対策の現状についてです。本町の人口は、ほぼ横ばいの状態が続いています。11月1日現在の人口は23,659人で、前年同月比で21人の増加です。亡くなる方が生まれる子どもの数を上回る自然減ですが、若い世帯の方々が転入する状況が明確となり、社会増が人口の減少をカバーしています。選ばれるまち(ブランド化)を目指す本町としては大変有難いことであり、その結果として子どもの数も大きく減ることもなく、また高齢化率の伸びも鈍化している現状です。
しかし問題なのは、近隣市町からの転入が多く、仙南地域全体としては大幅な人口減少と少子高齢化に拍車がかかっていることです。『地方創生は、勝者のいない自治体間の競争を生んでいる』という指摘もあり、本町だけが人口を維持しても中長期的には決して喜べる訳ではないと受け止めています。今こそ、広域的な視点でのつながりに着目し、仙南の4極構造(白石・角田・柴田・大河原)と揶揄(やゆ)される状況を乗り越えて、実質的な連携の成果が求められていると考えています。
そして、もう一つの大きな課題は、地域医療の在り方の問題です。9月末に大きな話題となった、国・県の進める『地域医療構想』に基づく今後の再編統合を議論するべき公立・公的病院のリストの公表がありました。続いて11月末までに、地域内の中核的病院の再編統合についても重点地域や対象病院が公表されることになると言われています。
仙南二次医療圏では、刈田・中核の両病院が対象となることは間違いないと受け止めています。県と東北大学では、国の推進支援事業による検討が既に始まっていると思われますが、住民への説明責任も大切な視点ですので、統合ありきではないことを願っています。刈田は回復期医療を、中核は急性期医療を担うといった医療機能の連携と分化から検討・検証が成されるべきと考えます。
千年に一度に迫る災害への対応、地域全体の人口や子どもの減少対策、そして地方が抱える地域医療の課題などに対し国・県・地方が一体となり、将来に向けて持続可能な状況をどう担保するのか。極めて重要な局面を迎えているものと認識しているところです。
2019年11月12日