更新日:2024年3月18日
 
動物由来感染症(人獣共通感染症)とは

「動物由来感染症」とは、動物から人に感染する病気の総称です。「人獣共通感染症」や「人と動物の共通感染症」や「ズーノーシス」とも言われています。世界保健機関(WHO)では、ズーノーシスを「脊椎動物と人の間を自然な条件下で伝播する微生物による病気または感染症(動物では病気にならない場合もある)」と定義しています。

代表的な例に、狂犬病が挙げられますが、それ以外にも、猫ひっかき病、パスツレラ症、カプノサイトファーガなどがあります。動物由来感染症には、人も動物も重症になるもの、動物は無症状でも人が重症になるもの、その逆で人は軽症でも動物は重症になる病気など、病原体によって様々なものがあり、近年世界的な問題になっています。

 

 動物由来感染症はどうやってうつるのか

  動物由来感染症における伝播とは、病原体が動物から人にうつるまでのすべての途中経過をあらわします。感染源である動物から直接人間にうつる「直接伝播」と、感染源である動物と人間との間に何らかの媒介物が存在する「間接伝播」があります。

 

 直接伝播

 咬み傷や引っ搔き傷からの病原体の侵入が典型的なものです。口の周りや傷口をなめられてうつる場合もあります。

動物の咳やくしゃみを直接受けたりすることで、感染する病気もあります。動物の体についている病原体も、直接伝播の原因となります。特に子どもでは動物に触って糞などで汚染した手を口に持っていくことで、感染するルートもあると考えられています。

 

 間接伝播

 ダニ、蚊などが感染動物から人間へと吸血などによって、病原体を伝播することがあります。これらを含む節足動物等をベクターと呼びます。ベクターが運んで人間にうつすもの(ベクター媒介)、動物の体から出た病原体が周囲の環境(水や土等)を介して人間にうつるもの(環境媒介)、家畜や魚介類等が病原体で汚染されている場合、熱を加えずに食べたりすることでうつるもの(動物性食品媒介)などがあります。

環境媒介ルートの特徴は、環境が病原体で汚染されていることには通常気づかないことです。

 

動物由来感染症が問題となる背景

  その背景として、人間の社会環境の変化と行動の多様化があげられています。

例えば、交通手段の発展による膨大な人と物の速やかな移動、人口の都市集中、土地開発と自然環境の変化、先進国では高齢者などの感染抵抗力が弱い人々の増加や野生動物のペット化などです。

そのような中で、未知の感染症が出現したり(新興感染症)、忘れられていた感染症がその勢いを取り戻したりしています(再興感染症)。新興感染症の多くは、動物由来感染症です。日本は、世界でも例外的に動物由来感染症が少ない国です。私たちは多くの生物と共存している事実を忘れずに、幅広い視野に立って感染症対策を立てていく必要があります。

 

世界ではたくさんの新しい感染症が見つかっています

   世界では新しい感染症が次々と出現しています。そしてその多くが、動物由来感染症です。ニパウイルス感染症、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)等の新しい未知の感染症(新興感染症)が次々と見つかっています。それらの中には、感染力が強く重症化する傾向があり、有効な治療法がまだ開発されていないもの、ワクチンが実用化されていないものもあります。(重症急性呼吸器症候群(SARS)、エボラ出血熱、マールブルグ病、中東呼吸器症候群(MERS)ハンタウイルス肺症候群など)動物由来感染症は、これらの新興感染症が見つかる以前にWHO(世界保健機関)で確認されたものだけでも200種類以上あります。

世界中で数多くある動物由来感染症のすべてが、日本に存在するわけではありません。日本には寄生虫による疾病を入れても数十種類程度と思われます。このように、日本では動物由来感染症は比較的少ないですが、世界では多くの動物由来感染症が発生しています。海外では、日本国内で発症のない感染症にかかるリスクがあります。命に危険が及ぶ感染症もあるので、事前に情報を収集し、予防に努めましょう。むやみに野生動物や、飼い主不明の動物に触れることはやめましょう。

 
動物由来感染症の予防

  動物由来感染症に感染しないために、以下の点に気をつけましょう。

 

望ましい衛生環境

  愛玩動物と接触した後、砂場や公園で遊んだ後の手洗いを必ず励行する。

  過度の密接した接触は避けるようにし、口移しのエサやり、食器の共用、寝具を共にする、入浴を共にする等を行わない。

  動物の床敷きの交換、ケージや水槽の清掃にあっては、汚れの程度や作業内容に応じて、マスク、手袋、帽子、作業着、ゴム長靴等を利用する。

  乳幼児が愛玩動物と接触する場合には、保護者が同伴し、衛生対策を講ずる。

 

望ましい衛生管理

 飼育場所を清潔に保つ。室内飼育動物の場合は、特に注意する。

   室内で鳥を飼育する時は、ケージやその周り、室内のこまめな清掃・定期的な換気を心がける。

 室内で、なるべく排便排尿を行わせない。

 動物のふん尿は、直接ふれたり病原体を吸い込んだりしないよう気を付け、早期かつ定期的に除去・清掃する。

 外部からの動物の侵入を防ぎ、感染症の侵入や拡散を防止する。

 常に、ペットの健康状態に注意する。

   野生動物の家庭での飼育や、野外での接触は避ける。

 

その他の注意

 衛生的なエサ及び水を、過不足なく与える。

 餌として生肉は与えないようにし、肉を与えるときは十分に加熱する。生肉や加熱不十分な肉には、有害な寄生虫や食中毒菌、薬剤耐性菌が存在する可能性があります。食べ残しなどは、速やかに処理することが必要。

 ペットのかかりつけ動物病院を持ち、相談できる関係づくりが大切。

 飼い主の免疫力が低下していると感染のリスクが高くなると考えられるので、免疫力が低下していると感じたら、医師の指示に従い、飼育・清掃等の作業を避ける等の注意が必要である。特に小さな子供や高齢者は、いったん発病すると重症化しやすいので、特に注意が必要。

 

 動物由来感染症handbook_2024.pdf

   動物由来感染症.pdf(更新 743KB)

 

 

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