2026年2月17日 町長コラム(広報おおがわら令和8年3月号「さくら並木」) New!

『みやぎ県南中核病院』での分娩が再開します。

~社会が抱える課題解決のきっかけとなることを願って~

去る2月9日開催の『仙南医療圏地域医療推進協議会』において、『みやぎ県南中核病院(以下、当院。)』での分娩再開を報告し、その後に正式にマスコミへの発表を行いました。地域住民の期待に応える明るい話題となりましたが、人口減少や少子化など地域社会が抱える課題解決のきっかけにつながることを願って止まないところです。
 現在の仙南地域の人口推移状況は、こどもの数(0~14歳)・生産年齢人口(15~64歳)・高齢者人口(65歳以上)とも減少する中、出生数も同様に大幅に減少しています。平成28年に公立刈田綜合病院(白石市)で、令和2年には当院においても分娩休止となり、地域内での分娩数が明らかに減少することとなりました。県教育事務所と当院が行った調査においても、自治体(総合)病院での分娩休止は、こどもを持とうとする意欲を低下させるとの結果が報告されています。当院での分娩休止と出生数には少なからず因果関係があるようです。
 次に当院における分娩数の推移ですが、平成15~23年ごろまでは100人台半ばで、24~27年は200人台、28年がピークで345人(産科医師4・5人)でした。その後も300人前後で推移し、分娩制限が始まった令和元年は、150人台、そして産科医師派遣の縮小により、令和2年で分娩休止となったものです。この現実を憂慮して、当院と2市7町による宮城県と東北大学への分娩継続に関する要望活動を実施しましたが、残念ながら再考されるには至りませんでした。その後の仙南地域での分娩(民間病院2施設のみ)は減少を続け、現在では200人を割り込む状況となっているところです。
 分娩が再開される条件としては、安全優先の医療として総合病院の産科による対応が重要です。高齢出産や合併症を持つ妊婦の増加・早産、帝王切開の増加と併せて、医療訴訟の増加などへの対応が求められています。また、24時間365日の診察体制(地域周産母子センター)のためには、働き方改革も考慮した医師・助産師など複数のスタッフによるチーム編成が必要です。さらに、産科は不採算部門であることも頭の痛い課題です。
 この度、東北大学からの産科医師の派遣が決定されたことにより、5人体制での産科病床20床・年間分娩200件を当面の目標とすることとなりました。具体的には4月1日から妊婦健診を受け付けし、13日から産婦人科外来にて分娩に向けた診療を行う予定となりました。(詳しくは、当院ホームページや広報紙をご覧ください。)
 決して分娩再開がゴールではなく、協議会などを調整の場としながら地域医療全体の様々な課題解決に向けて共通理解の醸成に努めなければなりません。今後とも当院の使命である『命を守る最後のとりで』としての役割を果たす決意です。
 ここに至るまでの道程は、困難なものでしたが、下瀬川企業長や伊勢福病院長はじめ当院スタッフには改めて心からの感謝と敬意を表する次第です。

 

◆次号からは『町長エッセイ・さくら並木(仮称)』として衣替えする予定です。町長就任以来18年弱に渡り1200字程のコラムを書き続けてきましたが、これまでのご講読に心から御礼申し上げます。

                                               (2月16日記)

 

2026年2月17日 | コメント(0)

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