財政の安定による、本町の特徴を生かした官民連携のまちづくり
~人口統計や行財政指標が示す本町の現状から~
先月号の特集は、『令和7年度町長施政方針・主な事業と当初予算の概要』でしたが、ご一読いただけていれば幸いです。本町の現状を正しく検証し、今後求められる新たな視点・手法による官民連携の可能性を探りながら、挑戦し続ける一年になると考えています。
先ずは人口統計ですが、令和7年4月1日現在の人口は23,217人で残念ながら前年同月比で197人の減少でした。死亡者数(326人)から出生者数(112人)を引いた214人の自然減で、転入者数(976人)から転出者数(959人)を引いた17人の社会増でした。高齢化率(65歳以上)は29.3%で、仙南地域では唯一30%以下でした。生産年齢人口(15~64歳)比率は、59.2%、15歳未満人口比率は、11.5%となりました。
全国的に人口減少が著しい自治体が多い中で、本町の特徴である中心性・拠点性・利便性により僅かながらの社会増ですが、今後のトレンドとしては確実に減少に向かっている状況です。出生数の減少に加えて、高齢者の死亡数の逓増による自然減幅の拡大が憂慮される厳しい現実となっています。
次に、行財政指標や本町の特徴につながる統計についてです。先ず本町の財政力指数は、0.6(令和5年度)、自主財源比率は令和7年度当初予算ベースで48.4%でした。また、町民一人当たりの所得は257万円(令和6年末)で、これらは仙南地域ではトップレベルです。そして、今年度当初の財政調整基金は約30億円程で、全基金の残高は47億円程となりました。さらに、商業の歴史を色濃く持つ本町の特徴につながる年間販売額は531億円(令和5年度)と高く、賑わいの拠点であることが判ります。
一方、今後の財政については、物価高騰や国が主導する自治体システム標準化・共通化に関する費用、人口減少社会における人材不足と住民サービスの質の向上を図るデジタル化への取組など、過渡期にある様々な財政需要の拡大は今後も避けられない状況です。
このような中、本年度は安定した財政に支えられて、給食費無償化、子育て世代への支援拡充、教育・学習施設の環境整備、同報系防災無線整備など各分野にわたり住民の安心・安全に資する事業編成となりました。さらに広域的な視点での継続事業として、白石川右岸河川敷等整備事業による『賑わい交流拠点施設整備』を着実に進めます。学校給食センター事業と同様の手法(PFI手法BTO方式)によるもので、官民連携を柱とした15年間の維持管理運営を含めた計画としています。
特に事業実施に当たっての留意点は、行政も正に経営であり、長期的に資金・資産・人材といった資源を活かすために、新たな視点・手法による事業の組立が求められていることへの理解でしょう。これまで以上に民間の提案力や発想力を活かした官民連携により、旧来の枠に囚われない資源の再配分が必要になるものと受け止めているところです。
広域的な視点に立って、地域全体をリードする役割を今後とも担ってまいる覚悟です。
(4月21日記)