2025年3月31日 町長コラム(広報おおがわら令和7年4月号「さくら並木」)

多額となった『ふるさと寄附金』の現状と行政経営。
~首長に求められる稼ぐ自治体への挑戦する姿勢~

 昨年6月の総務省の発表によれば、令和5年度に制度利用された『ふるさと寄附金』の総額は全国で1兆円を超えたとのことでした。本町でも令和6年度の推計額が31億円程(約半分が町の自主財源に)と過去最高を更新し、寄附者への感謝とともに使途に対する責任を痛感しています。また、返礼品競争との批判の声もありますが、一人ひとりの貢献が地方の未来に活力を生むことに対して、国民的な期待が膨らんできているものと受け止めているところです。
 さて、この制度は『ふるさと納税で日本を元気に。』の理念に基づくものですが、その概要を簡単に説明させていただきます。自分の選んだ自治体への寄附額の内、2千円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です。例えば、年収700万円の給与所得者のかたで、扶養家族が配偶者のみの場合、3万円のふるさと納税を行うと2万8千円が所得税と住民税から控除されるという仕組みです。
 そして、寄附者は、自らの寄附金の使途を選択することができます。本町の例示する項目と寄附割合(令和3~5年度)は、以下の通りとなっています。少子高齢化対策31%、地域産業の振興6%、自然環境・地域景観(一目千本桜等)の保全6%、医療・福祉の充実14%、教育・文化・スポーツの振興13%、にぎわい交流空間創出プロジェクト2%、新型コロナウイルス対策2%、自治体にお任せ26%となりました。本町では、使途に合致した基金への積立や各種事業への活用、地方債の借入抑制による将来世代の負担軽減を図っておりますが、残余につきましては財政調整基金(令和6年度末残高38.6億円程) への積立となっています。
 確かに、制度の現状としては、返礼品を過度にアピールする本来の趣旨にそぐわない現実もあるようですが、本町としてはこれまで通り全国に向けて魅力を知っていただく取組に徹することとしています。また、返礼品については、地場産業の振興の視点を大切に地元事業者と協力し、新たな商品開発も進めながら、『応援したくなる、訪れてみたいまち。』となれるよう今後も努力してまいる所存です。
 私自身も、ここまで多額の寄附金(令和3~6年度で合計102億円)となったことに、正直なところ驚きながらも感謝の気持ちでいっぱいです。しかし、今後の推移についてはこの制度の継続が条件であり、行政経営の上では安定財源ではないことを決して忘れてはならないと考えています。寄附金の大幅な減少となれば、基金・地方債の管理や事業実施時期の検討・調整など、行政経営への影響は避けられないことになるからです。
 現在、自治体の財政基盤の格差の拡大が益々懸念される状況となっています。本町の健全な財政状況は、『ふるさと寄附金』によるところも大きいですが、様々な情報収集と挑戦的な姿勢が生んだ成果であったことも確固たる事実です。改めて、首長に求められる稼ぐ自治体への挑戦する姿勢について強い自覚を持ったところです。   
                                         (3月18日記)

2025年3月31日 | コメント(0)

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