2024年1月29日 町長コラム(広報おおがわら令和6年2月号「さくら並木」)

能登半島地震からの復興に思いを寄せて
~一人ひとりの『立志』から社会や国はつくられる~

 元日の能登半島地震の発災は、津波や火事の被害につながった東日本大震災を想い起こさせる大惨事となりました。亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された全ての皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 宮城県の重点支援先が能登町になったことを受けて、技術系・事務系・保健師等の応援を申し出ており、現地に職員を派遣する予定です。また、福祉課・中央公民館・金ケ瀬公民館・社会福祉協議会にて災害義援金の受け付けを始めたほか、町(職員共済会・課長会)からも送付の決定をしています。一日も早い復旧・復興を心より願う次第です。
 一方、新年を迎えてコロナ禍による日常生活への制約が無くなった実感を強く持つようになりました。町内各地での様々な行事が復活し、寒いなかでも河川敷に整備したパークゴルフ場は連日大盛況となっています。復興支援のためにも、日常生活を元気に送りながら社会・経済活動を停滞させないことも重要なことと受け止めています。しかし他方残念なことに、厳しい被災の陰で盗難や詐欺が横行している現実が続いています。一部の犯行であっても日本社会が、『今だけ、金だけ、自分だけ』になっていると受け止められそうで、やり場のない怒りを感じています。
 さらに、壊滅的な被害を被ったインフラや漁業・農業の生産基盤の崩壊、水源の喪失や伝統文化への影響など、復興までの長い道のりに覚悟が必要な状況となりました。今後の農業一つを考えてみても、現状の気候変動・土壌汚染・紛争の勃発などがあるなかで、食料自給率や経済安全保障への弊害が助長されることが気掛かりです。人間が自然からしっぺ返しを受けているように思えてなりませんが、復興の在り方を考える上でも現在直面している危機について、別の視点で見つめ直す必要があるのではないかと考えています。
 先日、『日本の水と食を護れ!』という勉強会に参加してきました。日本にも迫り来る水不足の危機や崩壊に向かう日本の農業についての解説でしたが、いつも水があり食料があることを当たり前と思っている自分が恥ずかしくなりました。水インフラ(上下水道施設等)の劣化に加えて、今大きな問題になっているのが日本の水源地が利益のために外国資本に売られているという現実です。また、日本の食料自給率(先進国で最も低い38%)は、生産に必要な肥料や種の自給率の低さを考慮すると実質的には10%程度で、もはや国民が飢え死にする可能性さえあるとの見解に強い危機意識を覚えました。今回の震災からの復興に思いを寄せながら、一政治家としても真剣に目を向けるべき本質的な課題に、改めて気付かされた思いです。
 やはり、『今だけ、金だけ、自分だけ』の風潮を決して容認しない社会や国でなければなりません。間もなく大河原中学校では『立志式』が挙行されます。全ては一人ひとりの『立志』から社会や国がつくられていることに、今こそ我々大人も自覚を持つ必要があるのではないでしょうか。突然の犠牲を生んでしまった能登半島地震に多くの教訓を求め続けるこの頃です。
                                            (1月18日記)

2024年1月29日 | コメント(0)

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