2023年10月25日 町長コラム(広報おおがわら令和5年11月号「さくら並木」)

本町の財政の現状と市町村間に生じている格差の課題

 先般の議会定例会9月会議において、『令和4年度決算の認定』が満場一致で決議されました。また、法律に基づき監査委員の意見を付した『財政の健全化判断比率』の報告を行ったところです。この判断比率については、実質赤字比率と連結実質赤字比率は『数値なし』で、将来負担比率は充当可能な財源を有することから、これも『数値なし』でした。また、借入金(地方債)の返済額(公債費)の大きさの指標(実質公債費比率)についても『適正』という結果になっております。
 本町の決算の概要については、一般会計と特別会計(後期高齢者医療・国民健康保険・介護保険・仙南夜間初期急患センター・地方卸売市場)と企業会計(水道・公共下水道)の全てが黒字でした。総基金の残高は46・4億円弱となり、財政調整基金が26・4億円余で公共施設等整備基金と土地開発基金他で9・5億円余、特別会計の基金総額は10億円余という結果でした。抱える財政上の課題としては、経常収支比率が高く財政構造が硬直化していることがあります。一方、ふるさと寄附金が高額で財政の健全化に大きく寄与していることが特徴です。
 ところで、本町の財政状況とは異なる視点での市町村間に生じている気掛かりな現実があります。直接の財政基盤ばかりではない市町村間の取り組み上の格差です。財政力指数からみて特に町村間での格差が深刻なことが、地方創生の求める広域連携の成果に暗い影を落としているように感じられてなりません。
 例を挙げますと、マイナンバーカードのコンビニ利用についてですが、役場が閉庁している時刻や土日祝日でも各種証明書が取得できる高い住民サービスとなっているものです。しかし、当然システム導入コストや年間の維持費等が必要で一般財源からの負担が生じます。県内の町村でみると、本町は実施済みですが、約半数は費用負担等の問題で実施できない状況にあります。
 次に、小中学校の給食費の無償化への取り組みです。法律上は保護者負担と規定されていますが、子育て支援の一環として、首長の政策的な判断で一部または全部の給食費無償化が進められています。多額の安定財源の確保が困難なことから、これも約半数の町村が実施しておりません。本町では、年間約1・1億円の財政負担となりますが、検討・実施の前に国に対する全国一律での完全無償化を強く要望しています。義務教育は、居住地に関わらず全国平等な環境であるべきと考えているからです。
 その他にも、平等を欠く生命に関わる地域医療の供給体制の整備や、18歳までの子ども医療費助成の補助の格差等も存在します。さらに、住民の通学・通勤・通院等に必要な地域交通の運行にも地域間格差が生じています。
 本来これらの格差の解消には、競争ではない共生意識への配慮が重要な視点です。共通する行政課題であるにも関わらず、連携して解決することに至らないもどかしさを感じています。地方の結束があって初めて『地方からの国づくり』が実現することを信じて止まないこの頃です。

                                            (10月23日記)

2023年10月25日 | コメント(0)

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