2019年6月17日 町長コラム(広報おおがわら令和元年7月号「さくら並木」)

 地方創生と人口をめぐる地域間競争           ~仙南地方の人口と子どもの数の推移~

 全国的に少子高齢化と人口減少が同時に進行する社会にあって、人口減少を克服し、将来にわたって成長力を確保し、活力ある社会を維持するとした『地方創生』も5年目を迎えています。
 本町の人口は維持されている現状にありますが、国の政策として打ち出された『まち・ひと・しごと創生』がかえって人口をめぐる地域間競争に拍車をかけることになっていないか心配しています。この取り組みが、『勝者なき競争』と言われる所以であり、本町だけが人口を維持できれば良いという訳ではないものと受け止めています。
 2018年度の仙南2市7町の人口と子どもの数の推移をみると、驚くことに全部減少であり、人口は昨年度1年間で2049人、子どもの数(2018年1月現在)は543人の減少となっています。また人口のピークは、2004年頃であり、15年間で本町がすっかり消滅した程(2万3000人)の人口が減少しています。そして、本町が注目している子どもの数(15歳未満)も大きく減少してしまっているのです。(表参照)
 国の社人研の人口推計値は、統計予測として最も正確とされていますが、仙南地域の人口はその予測を超えて減少しています。この予測と合わせ、合計特殊出生率や出産に関する女性人口(20歳以上40歳未満)の推移から、『地方消滅(増田寛也著)』なる衝撃的な提言があり、人口減少は地方衰退に直接つながるとする指摘がクローズアップされることになったのです。
 本来、地方創生は人口減少に歯止めをかけることが最大の目標であり、広域連携と自治体の持つ特徴を活かすことがキーワードと理解しています。そして、働き方改革は1億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジであり、我が国の隘路(あいろ)の根本にある少子高齢化の問題に真正面から取り組むべきものと理解しています。この現実の本丸は人生100年時代に向けた人づくりであり、子どもたちの誰もが夢や志の実現のために頑張ることができる平等社会の在り方だと考えています。
 しかし、次代を担う子どもの数が減り続けている厳しい状況に、自治体は鈍感過ぎるのではないかと思えてなりません。
 また、子どもは地域社会にあっても、常に人と人をつないでくれる存在であることに気付かされました。
 この危機意識に基づいて、子どもの数を減らさない視点をこれからの重要施策に活かして参る決意をしたところです。

人口動態調査

                                           2019年6月17日


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