人生100年時代をどう生きるか ~志、アイデンティティ、スキルがキーワード~
最近、人生100年時代という言葉をよく耳にするようになりました。これは『ライフ・シフト』の著者の一人で英国のリンダ・グラットン教授の提言とありました。人生100年時代とは、『寿命が(100歳前後まで)今後延びていくにあたって、国・組織・個人がライフコースの見直しを迫られている』という解説でした。
皆さんご存知のように、日本は健康寿命が世界一です。日本人の寿命は延び続け、今の小学6年生は107歳まで生きる確率が50%とされています。従来の『教育を受ける』、 『仕事をする』、『引退して余生を過ごす』の3段階のライフコースでは、人々はこの超長寿社会を活力を持ち続けて生きることは困難です。しかし、老後の生活のために『仕事』の期間だけ長くなると受け止めてはモチベーションが下がります。
そして、人生100年時代は新しい社会構造や価値観が生まれなければならないことを示唆しています。政府は『人づくり革命』を掲げる人生100年時代構想会議を開催し、将来を見据えた経済・社会システムを実現するための政策のグランドデザインの検討を始めています。しかし、現代社会を生きる若い人たちは、人生100年時代を迎え大きく変革する必要に迫られている意識を持っているのでしょうか。
私の本音としては、『ボーっと生きていては、○○ちゃんに叱られる』ことになりはしないか心配です。
私もこの『ライフ・シフト』を読んで認識不足を痛感させられました。この問題は、個人レベルを超えた国家的、世界的レベルの取り組むべき社会問題であるのは当然です。その上で、人生100年時代という超長寿社会における働き方や生き方をどのように変化させ、そして自分の人生設計や構想に如何につなげるかに思いを馳せる必要があったのです。
決して人事(ひとごと) ではありません。北海道開拓の父クラーク博士は、『少年よ、大志を抱け』の言葉を残しました。しかし、人生100年時代では幾つになっても志を持って生きることが大切です。例えば70歳超まで働くことを想定し、独立した立場で職業による活躍の場を持つことができる(アイデンティティ)ことも重要です。そして、人的ネットワークといった無形のものも含めて専門的な知識や技能(スキル)を持ち、競合と差別化を図ることは極めて有効な生き方につながるでしょう。
人生100年時代のキーワードは、志、アイデンティティ、スキルの3つになるものと受け止めました。
そして、これらのキーワードを活かすために、お金では得られない良好な人的ネットワークをはじめ暖かい家族の絆など、無形の財産がより求められるのではないでしょうか。
現実となりつつある超長寿社会について思いを馳せるのに遅きに失することがないように願う次第です。
2019年5月21日