~ 志教育 ~ 『希望は心の太陽である』
去る5月29日、大河原中学校において「志集会」が開催され、「希望は心の太陽である」という講演をさせていただきました。
全校生徒を前に少し緊張しましたが、生徒の聞く態度の立派なことに感心させられました。
また、私にとっても一呼吸おいてこれまでの人生を振り返る貴重な機会になりました。
大河原中学校には全国に先がけて実施してきた伝統行事の「立志式」があります。
14歳の春に自分としっかり向き合いながら、希望を持って将来を考えることは大切なことだと思います。
そして、感謝の気持ちや信頼されることへの気づきにも繋がるものと受け止めています。
さて、私事で恐縮ですが、講演の内容について触れさせていただきます。
私は、3人兄弟の末っ子として農家に生まれました。
父親は長男が故に自分の意志とは異なる家業を継ぐことになりました。
少ない田畑を有効に活用する付加価値の高い農業を目指し、ビニールハウスによる施設園芸の先駆者となったようです。
父は、私たちには自由な職業の選択を許し、大学卒業後は自分の決めた道を歩むことを求めました。
朝早くから夜遅くまで働く両親の姿を思い出しては、信じてくれる親心を裏切ることはできないと考えてきました。
大学入試に失敗し浪人を経験しましたが、東京薬科大学に入り薬剤師となりました。
薬局経営に励みながら、薬剤師会の役員や会長を務める傍ら、地域の活性化や元気なまちづくりに強い関心を寄せてきました。
そして、青年会議所活動にも触発されて、商業を切り口としたまちづくりとしてのSC(ショッピングセンター)「フォルテ」の開発にのめり込むことになったのです。
しかし、お金も力もない若者が世のなかから信頼されることの難しさに、何度も打ち砕かれる日々が続きました。
資金調達に大変な苦労をしましたが、「親や女房が賛成しない事業に誰が力を貸すものか」という父親の一言があった日を境にして、事業の進展に大きな変化が生まれたのです。
持てる財産を投げ打って応援してくれた両親をはじめ、事業に賛同してくれる友人・知人がどんどん増えて、ついに5年がかりでSC「フォルテ」のオープンに漕ぎ着けることができたのでした。
もちろん、住民の皆さまが吹かせてくれたフォローの風も大きな後押しとなりました。
当時私は41歳でしたが、この挑戦を通して得た教訓の数々が町長への道を切り開いてくれたものと受け止めています。辛く厳しい現実や紆余曲折(うよきょくせつ)もありましたが、「希望は心の太陽である」ことを信じて前進してまいりました。
人の挑戦には試練や失敗はつきものですが、一時の苦しみやしばしの傷みは大きく羽ばたくためのかがみであり、やがて飛躍するための踏ん張りなのではないでしょうか。
無限大の可能性を持つ生徒の皆さんと共に「志」を掲げ、一日一日を大切に頑張り抜く覚悟です。