○大河原町議会基本条例
平成25年12月17日
条例第28号
行政需要が多岐にわたり増大する今日、地方分権時代にあって自律的な自治運営を支えるため、行財政能力を更に強化することが必要不可欠となっておることから、大河原町(以下「本町」という。)の議事機関である大河原町議会(以下「議会」という。)の役割がますます重要となっている。
このような中にあって大河原町議会議員(以下「議員」という。)は、大河原町民(以下「町民」という。)の負託にこたえるとともに、開かれた場での議論によって透明性を確保しつつ本町の諸課題を解決するため、積極的に活動することが求められている。また、こうした期待される役割を果たしていくため、従来の行動指針にとどまることなく、自ら議会改革を進めていくとともに、議会の権限を更に強化していくと同時に、議員の役割と身分上の位置づけの明確化を図ることが必要となっている。
議会は、議会改革を更に推し進めることで、より一層町民に開かれた議会を目指すための在り方としての基本条例を明らかにし、町民福祉の向上及び町政の発展に寄与することを決意し、ここに条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、分権と自治の時代にふさわしい議会に関する基本事項を定め、議会及び議員の役割、行動指針等を明らかにすることにより、地方自治の本旨に基づく町民の負託にこたえ、豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。
(最高規範性)
第2条 議会は、信頼性を高めるため不断の改革に努め、この条例を議会運営の最高規範と位置づけ、理念及び原則を遵守し町民を代表する合議制の機関として町民に対する責任を果たす。
2 議会は、法律及び他の法令等の条項を解釈し運用する場合においては、この条例に照らして判断するほか、議会に関する他の条例等を制定し又は改廃する場合においても、この条例との整合を図る。
(通年議会)
第3条 議会は、第1条の目的を達成するため、議会が本来有する自律的により主体的、機動的な活動を展開するため、議会、議員活動の基本となる会期を通年とする。
2 前項の通年議会に関し必要な事項は、別に定める。
(議長及び副議長の選挙)
第4条 議長、副議長の選挙にあたっては、それぞれの職を志願する者に議会活動の方向性を明確にし、町民に対する透明性を高めるため所信表明の場を設けその経過を明らかにする。
2 前項の議長、副議長の選挙に関し必要な事項は、別に定める。
(議会の活動原則)
第5条 議会は、住民主権を基礎とする町民の代表機関として、次に掲げる原則に基づいて活動する。
(1) 公正性及び透明性を確保するとともに、常に町民に開かれた議会を目指す。
(2) 町民の多様な意見を把握し、政策形成に適切に反映できるよう、町民参加の機会拡充に努める。
(3) 把握した町民の多様な意見をもとに、政策提言、政策立案等の強化に努める。
(4) 町民本位の立場から、適正な町政運営が行われているかを監視し、評価する。
(5) 議会運営は、町民の傍聴の意欲が高まるよう議案審議に用いる資料を提供するなど、分かりやすい視点、方法等で行う。
(災害等時の議会対応)
第5条の2 議会は、災害や感染症のまん延等が発生したとき(以下「災害等時」という。)においても、議会機能を維持しなければならない。
2 災害等時の議会の行動基準等に関しては、別に定める。
(令4条例7・追加)
(委員会の活動原則)
第6条 大河原町議会委員会条例(平成3年条例第6号)の規定による常任委員会、特別委員会及び議会運営委員会(以下「委員会」という。)の審議に当たっては、次に掲げる原則に基づいて活動する。
(1) 委員会は、調査、審査を行うにあたっては資料を提供するなど、町民に対し分かりやすい議論を行うよう努める。
(2) 委員会は、参考人制度等を十分に活用し調査、審査等に反映させる。
(3) 委員長は、委員会の秩序保持に努め、委員長報告を自ら作成するとともに、質疑に対する答弁も責任をもって行う。
(議員の活動原則)
第7条 議員は、議会を構成する一員として次に掲げる原則に基づいて活動する。
(1) 町政の課題全般について町民の意見を的確に把握するとともに、自己の資質を高める普段の研鑚によって、町民全体の奉仕者、代表者としてふさわしい活動をする。
(2) 議会の構成員として、一部の団体及び地域の代表者にとどまらず、町民全体の福祉の向上を目指して活動する。
(3) 議会活動について、町民に対して説明する責務を有する。
(町民との関係)
第8条 議会は、本会議のほかすべての会議を公開するとともに、町民が議会の活動に参加できるような措置を講じる。
2 議会は、請願及び陳情を町民による政策提言と位置づけ、その審議においてはこれらの提案者の意見を聴く機会を設けることができる。
3 議会は、町民から議会運営等に関する要望、提言、その他の意見を聴取し、議会運営に反映させることが有効なことから、町民会議を置くことができる。
4 前項の町民会議に関し必要な事項は、別に定める。
(議会広報)
第9条 議会は、町政に係る重要な情報を、議会独自の視点から常に町民に対して周知するよう努める。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう議会広報活動に努める。
(情報公開)
第10条 議会は、信頼性を高めるため不断の改革に努め、議会活動に関する情報を常時積極的に公開する。
2 議会は、大河原町議会ホームページ(以下「ホームページ」という。)、大河原町議会広報(以下「議会だより」という。)等の多様な媒体を用いて情報を発信し、町民の意見の把握に努める。
3 議会は、議長交際費を含め議会費の使途等をホームページ、議会だより等により公表する。
4 議会は、議案に対する各議員の賛否をホームページ、議会だよりで公表し、議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努める。
5 議会は、大河原町情報公開条例(平成13年条例第5号)との整合を図りつつ、議会活動に関する資料を積極的に公開する。
(議会報告会)
第11条 議会は、町民の参加と連携を深める方策として議会報告会を年1回以上開催し、広く町民の意見を聴取して議会活動に反映させる。
2 議会は、議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する場として、町民からの要請に応じ議員の出前懇談会を開催する。
3 議会は、議会運営、政策立案、政策決定等の議会活動に関し、町民に対し説明する責任を有する。
(町長等との関係)
第12条 議会審議における議員と町長その他の執行機関及びその補助職員(以下「町長等」という。)との関係は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努める。
(1) 議場で質問を行うに当たっては、対面演壇において、町政の課題に関する論点を町民に明らかにするため、一問一答方式により行う。
(2) 議長から本会議、委員会及び全員協議会(以下「全協」という。)に出席を要請された町長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問等に対して反問できる。反問に必要な事項は別に定める。
(3) 議会は、町長が提案する政策について議会審議を通じて政策水準の一層の向上を図るため、必要な情報を明らかにするよう求める。
(4) 議員は、重要かつ緊急なものについて、閉会中及び休会中に議長を経由して町長等に対し文書質問を行うことができる。この場合において文書により10日以内に回答を求め、答弁書は提出議員に送付するほか、質問及び回答は公開する。
(論点情報の形成)
第13条 議会は、町長が提案する重要な政策について、議会審議における論点情報を形成し、その政策水準を高めることに資するため、次に掲げる事項について明らかにするよう求める。
(1) 政策の発生源
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(4) 町民参加の実施の有無とその内容
(5) 総合計画との整合性
(6) 関係ある法令及び条例等
(7) 財源措置
(8) 将来にわたるコスト計算
2 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前項の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明資料を町長に求める。
(議決事項)
第14条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項に基づく議会の議決事項を次のとおり定めるものとする。
(1) 大河原町総合計画の策定等に関する条例(平成25年条例第11号)第3条に規定する基本構想及び基本計画の策定並びに変更
(議決責任)
第15条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、自治体としての意思決定又は政策決定をしたときは、町民に対して説明責任を有する。
2 議会は、議会運営に関し、町民に対して説明する責任を有する。
(自由討議)
第16条 議会は、議員による討論の場であることを十分認識し、町長その他の執行機関及びその職員に対する出席要求を必要最小限度にとどめ、会議では議員相互間の自由討議が積極的に行われるよう努める。
2 議長は、必要に応じて全協を招集するが、全協は打合せ、意見調整の場であって、議決の場ではないことに留意する。
3 議員は、前2項による議員相互間の自由討議を拡大するため、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努める。
(政務活動費)
第17条 政務活動費は、議員による政策研究、政策提言等が確実に実行されるよう、別に定める大河原町議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年条例第18号)の規定により政務活動費の交付を受けた会派は、政務活動費の適正な執行に努める。
2 会派の代表者は、政務活動費の収支報告書について、自ら説明責任を果たすよう努め、議会は、政務活動費の収支報告書を積極的に公開する。
(議会図書室)
第18条 議会は、議員の調査研究に資するために設置する議会図書室を適正に管理し、運営するとともに、その機能の充実強化に努める。
2 議員は、調査研究のため積極的に議会図書室及び議員執務室を利用し、議会を拠り所に議会活動を行う。
3 議会図書室は、議員のみならず誰もがこれを利用できる。
(議会事務局)
第19条 議会は、議員の政策形成及び立案機能を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び法務機能の充実を図る。
(議員研修)
第20条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化を図り、この条例の理念を議員に浸透させるよう努める。
2 議会は、議員の資質向上を図るため学習会等を積極的に開催する。
(情報通信技術の積極的活用)
第20条の2 議会は、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、情報通信技術を積極的に活用する。
2 議会は、災害等時その他のやむを得ない理由により議事堂等に参集することが困難なときは、その状況に応じた情報通信技術の積極的活用により、議会活動及び議会機能の維持を図る。
(令4条例7・追加)
(政治倫理)
第21条 議員は、町民の負託にこたえるため、高い倫理的義務が課せられていることを深く自覚し、町民の代表として良心と責任感を持って、議員の品位を保持し、識見を養うよう努める。
2 議会は、前項の議員の政治倫理に関し必要な事項は、別に定める。
(議員定数及び議員報酬)
第22条 議員定数及び議員報酬の改正にあたっては、行財政の視点からだけでなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望について十分に考慮する。
2 議員定数及び議員報酬の条例改正議案は、町民の直接請求による場合及び町長が提出する場合を除き、明確な改正理由を付して、委員会又は議員から提出する。
3 議員定数及び議員報酬については、別に条例で定める。
(平29条例10・追加)
(危機管理)
第23条 議会は、災害等の不測の事態から町民の生命、身体及び財産又は生活の平穏を守るとともに、緊急時において総合的かつ機能的に活動できるよう町長等と協力し、危機管理体制の整備に努めなければならない。
2 議員は、災害等の不測の事態が発生することが予測される際には、地域情報を把握するとともに、大河原町災害対策本部等と情報を共有し、災害の未然防止に努めなければならない。
3 議会及び議員は、災害等の不測の事態が発生したときは、町長等と連携し、町民とともに、一日も早い復旧に尽力するとともに、町民生活の安定維持に努めなければならない。
(平29条例10・追加)
(検討)
第24条 議会は、この条例の施行後も、常に町民の意見及び社会情勢の変化等を勘案し、2年毎にこの条例の目的が達成されているかを議会運営委員会において検証する。
2 議会は、前項の検証の結果、必要があると認めるときは、この条例の改正を含む適切な措置を講ずるものとする。
(平29条例10・旧第22条繰下・一部改正)
附則
この条例は、平成26年1月1日から施行する。
附則(平成29年3月21日条例第10号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和4年3月16日条例第7号)
この条例は、公布の日から施行する。