2022年4月22日 町長コラム(広報おおがわら令和4年5月号「さくら並木」)

指定管理者制度下での指定業者との協働構築の大切な視点(対等と対話)
~NPOスポーツ振興アカデミーの信頼回復への期待~

 これまでの町体育施設の管理運営は、指定管理者制度の導入により長年に渡ってNPO法人『大河原スポーツ振興アカデミー』(以下NPO)を公共サービスの担い手として指定し、町に代わって行ってきました。ところが昨年来、NPO職員による時間外手当の不正受給等の一連の不祥事が発覚したことで、議会並びに町民の皆様にはご心配とご迷惑をお掛けする結果となり、心からお詫び申し上げる次第です。
 NPOとしては、既に不正受給をした管理職を懲戒免職として不正額の全額を町に返還しています。また、総会に於いて新たに選出された理事長のもと、改善計画の遂行に厳しい姿勢で体する決意が示されたところです。町としては、未だに忸怩(じくじ)たる思いではありますが、共に信頼回復につとめることで責任を果たしてまいりたいと考えています。
 NPOの認証や指導・監督は県が行うものですが、指定管理者制度の導入経緯については国策の反映によるものです。平成15年に地方自治法が改正され、地方分権や行財政改革が強く叫ばれることとなりました。本町でも、平成18年に『大河原町経営計画』が策定され、その中で指定管理者制度等も含む『民間活力導入推進計画』による行政コストの見直しが進められました。これ以降、町民視点の質の高い公共サービス向上のために、町民・地域・NPO・企業等の多様な主体との連携・協働に期待が寄せられてきたところです。
 また、議会でもこの方針に添った制度導入の理解が深まり、NPOへの指定管理者についての承認も継続されてきました。行政コストの削減が全てではありませんが、NPOとの協働の実践が財政健全化に寄与してきたことは疑いようのない事実です。勿論、だからといって今回のNPO職員による不祥事が決して許されることではありません。また、町の対応としてもモニタリングへの緩慢さ等を含め、NPOとの対話の不足が大きな反省点であると認識しています。
 しかし、一方では指定管理者制度による協働関係の構築には、運用面での対等意識が重要な視点とされています。NPOに対する町の優位的地位が強調されすぎて、NPO組織の人事や理事会への介入等がなされたのでは、法人に対する不文律に反することになります。
 今回は、議会の多数表決によりNPOの継続的な管理運営となりましたが、新年度の全体予算への反対にまでつながったことは大きな衝撃でした。NPOには、自らの改善計画に則り実効性のある管理運営の徹底に留意して、法人としてのあるべき姿を目指す取り組みを切に願うところです。また、今後の町スポーツ振興に関わる姿勢としては、『スポーツによる地方創生やまちづくりへの挑戦』を掲げたいと考えています。そのための役場組織の見直しや町長部局としての関わりの明確化を図ってまいります。
 いかなる時も、町政執行の上で重要なことは、予算に対する議会の信任です。一つの指摘での全体予算への反対表決は、町民の生活を守ることを考えると誠に不本意ではありますが、これも真摯に受け止めながら今後の教訓とさせていただく所存です。
                                             (4月18日記)

2022年4月22日 | コメント(0)

お問い合わせ先