○大河原町環境基本条例

平成21年3月16日

条例第11号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 環境の保全と創造に関する基本的施策(第9条―第11条)

第3章 環境の保全と創造を推進するための施策(第12条―第27条)

第4章 環境審議会(第28条―第33条)

第5章 雑則(第34条)

附則

大河原町は、四季折々の緑豊かな美しい自然と、先人の築き上げた有形無形の歴史の中で、快適で潤いのある生活環境が育まれてきました。

しかし、私たちの生活は自然の持つ様々な能力を無限と考えて、生産性の向上や利便性を追求した結果、大量生産・大量消費・大量廃棄型の生活様式が定着したことによる地球の温暖化や天然資源の枯渇など、地球規模の環境問題を引き起こしています。

私たちは、健康で文化的な生活を営む上で必要な、安全で健康で快適な環境の恵みを受ける権利を有するとともに、このような環境を保全し、美しい姿で将来の世代に引き継いでいかなければならない責任があります。

私たちは、自らが環境に負荷を与えている存在であることを自覚し、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な循環型社会を築いていかなければなりません。

このため私たちは、町も、町民も、事業者もお互いが協力し合い、自ら参加して大河原町の美しい空気、美しい川、美しい緑とともに暮らしていける「美しいまちづくり」の実現を図るため、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全と創造についての基本的な考え方を定め、町、町民、事業者とこれらが組織する団体(以下「町民など」といいます。)の責任と義務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることによって、環境施策を総合的に、そして計画的に推進し、現在と将来の町民が健康で文化的な生活を、長期的に営むことができる良好な環境を確保することを目的とします。

(用語の意味)

第2条 この条例における用語の意味は、次のとおりとします。

(1) 環境の保全と創造 人の健康又は生活環境に係る被害の防止や自然の保護に止まらず、空気や水、緑、そこに生きる動植物などの自然の力を活用することにより、環境にやさしく潤いや癒しを感じられる快適な生活空間を創り出すことをいいます。

(2) 環境への負荷 人の活動によって環境に加えられる影響とともに、環境の保全上の支障の原因となる恐れのあるものをいいます。

(3) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化、又はオゾン層の破壊の進行、大気・海洋の汚染や野生生物の種の減少など、地球全体の環境に影響を及ぼすことに対する環境の保全であり、人類の福祉と町民の健康で文化的な生活の確保に貢献するものをいいます。

(4) 公害 環境を保全し、創出する中で、事業活動その他の人の活動に伴って生じる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下や悪臭などによって、人の健康や生活環境に関係する被害が生ずることをいいます。

(基本的な考え方)

第3条 環境は、積極的に保全し、創造のための働きかけを行わないと失われやすいことを理解し、その保全と創造の活動が進められなければなりません。

2 環境の保全と創造は、現在そして将来の町民が健康で文化的な生活を営むことができるよう、人と自然とが共生できる良好な環境を確保するとともに、この環境の恵みを将来の世代に継承していくことを目的に行われなければなりません。

3 環境の保全と創造は、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を実現するため、町、町民などが公平な役割分担の下で自主的、そして積極的に取り組まなければなりません。

4 環境の保全と創造は、地域の環境が地球全体の環境と深く関わっていることを認め、地球環境の保全に向けて、すべての日常生活や事業活動において進められなければなりません。

(町の責任と義務)

第4条 町には、前条に定める基本的な考え方(以下「基本的な考え方」といいます。)に従い、郷土の自然や社会的な条件に応じた、環境の保全と創造に関する基本的で総合的な施策を策定して実施する責任と義務があります。

2 町には、自らの業務や事業の実施にあたっては、率先して環境の負荷の低減に努めなければならない責任と義務があります。

3 町には、町民などが環境の保全と創造のために行う活動を支援したり、協力する責任と義務があります。

(町民の責任と義務)

第5条 町民には、基本的な考え方に従い、資源の循環的な利用、燃料・電気・水などの使用削減、廃棄物の分別や減量などを図ることにより、日常生活に伴う環境への負荷の低減に自ら努めなければならない責任と義務があります。

2 町民には、環境の保全と創造に自ら努めるとともに、町が実施する施策に協力する責任と義務があります。

(事業者の責任と義務)

第6条 事業者には、基本的な考え方に従い、その事業活動を行うときは、公害を発生させないようにするとともに、環境への負荷の低減に努める責任と義務があります。

2 事業者は、物の製造、加工や販売その他の事業活動を行うときは、環境への負荷の発生を少なくするよう、その事業活動に使われる製品の使用や廃棄物の適正な処理が図れるよう努める責任と義務があります。

3 前2項に定めるもののほかに事業者には、環境の保全と創造に自ら努めるとともに、町が実施する施策に協力する責任と義務があります。

(滞在者や通過者の協力)

第7条 第5条の規定は、町外から通勤、通学、旅行などで町内に滞在する者についても同じ扱いとします。

(協働の責任と義務)

第8条 町、町民などは、環境の保全と創造に貢献するため、お互いの立場や特性を尊重し、対等で公平な関係の下で、協力し行動するよう努めなければなりません。

第2章 環境の保全と創造に関する基本的施策

(施策の基本的な方向性)

第9条 町は、第3条の基本的な考え方の実現を図るため、次の基本的な方向性に基づく施策について、各種施策の相互の連携を図るとともに、総合的に、そして計画的に行うものとします。

(1) 大気や水、土壌などを良好な状態に保つことにより、健康で安心して暮らせる生活環境が保全されること。

(2) 生物の多様性を確保するとともに、森林、農地、水辺地などにおける多様な自然環境が、体系的に保全されること。

(3) 地域の身近な水や緑を生かした触れ合いの場が活用されることにより、潤いと安らぎを感じられる空間が創出されること。

(4) 美しい景観や歴史的文化的な環境を保持することにより、良質で文化的な生活環境が形成されること。

(5) 環境への負荷の少ない地球環境の保全に結び付く社会を実現するため、資源の循環的な利用やエネルギーの消費抑制と有効利用、廃棄物の減量などを進めることにより、環境への負荷が低減されること。

(環境基本計画)

第10条 町長は、前条の施策の基本的な方向性に従い、快適な環境の保全と創造に関する施策を総合的に、そして計画的に推進するため、大河原町環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければなりません。

2 環境基本計画は、環境の保全と創造に関係する長期的な目標と施策の基本的な事項について定めるものとします。

3 町長は、環境基本計画を定めるときは、町民などの意見を反映することができるように必要な取り組みを行うとともに、第28条第1項に規定する大河原町環境審議会の意見を聴かなければなりません。

4 町長は、環境基本計画を定めたときは、できるだけ早くこれを公表するものとします。

5 環境基本計画を変更するときは、第3項と同じ扱いによります。

(報告書の作成)

第11条 町長は、環境基本計画に基づいて実施した施策に関係する報告書を作成し、これを公表するものとします。

第3章 環境の保全と創造を推進するための施策

(環境への配慮)

第12条 町は、環境に影響を与えると認められる施策を策定し、実施するときは、環境への負荷が低減されるよう十分に配慮するものとします。

(環境影響調査)

第13条 町は、環境に著しい影響を及ぼす恐れのある事業を行おうとする事業者について、環境への影響を事前に調査させ、環境の保全の対策がなされるよう国・県と協力し必要な規制に取り組みます。

(規制などの措置)

第14条 町は、公害の原因となる行為や自然環境の適正な保全に悪影響を与える行為に関し、必要な規制に取り組みます。

2 前項に定めるもののほか、町は、環境の保全上の支障を防止するため、指導、助言、その他の必要な規制に取り組みます。

(水・緑の保全と創造)

第15条 町は、森林、農地、緑地や河川などにおける良好な環境の保全と創造を図るため、必要な取り組みを行います。

(美しい景観づくり)

第16条 町は、蔵王連峰を望む白石川により形成される、美しく象徴的な景観を維持し継承していくため、必要な取り組みを行います。

(公共的施設の整備等)

第17条 町は、環境保全に関する公共的な施設の整備や、下水道、廃棄物などの処理施設の整備と施策を推進するため、必要な取り組みを行います。

(廃棄物の減量の促進)

第18条 町は、環境への負荷を少なくするため、町民などによる廃棄物の減量、資源の循環的な利用、又はエネルギーの有効利用が促進されるよう必要な取り組みを行います。

2 町は、環境の負荷を少なくするため、町の施設の建設や維持管理、その他の事業の実施にあたっては、廃棄物の減量、資源のリサイクル、エネルギーの抑制に努めます。

(環境教育と学習の推進)

第19条 町は、環境の保全と創造における理解と関心を深め、自発的な活動が行われるよう、必要な環境教育、又は学習を推進します。

(町民などの自発的な活動の促進)

第20条 町は、町民などが自発的に行う緑化活動や景観形成活動、環境美化活動、再生資源に係る回収活動、その他の環境の保全と創造に関する活動の促進に関し、必要な支援を行います。

(情報の収集と提供)

第21条 町は、環境の保全と創造に関する情報の収集と、町民などに対し必要な情報の提供を行います。

(環境の状況の把握)

第22条 町は、監視、測定などの実施により、環境の状況を的確に把握し、環境の保全と創造に関する施策の策定に必要な環境の状況を調査します。

(地球環境保全の推進)

第23条 町は、町民などとともに、それぞれの役割に応じて地球温暖化の防止、オゾン層の保護、その他の地球環境保全に役立つように行動し、地球環境の保全に関する国際協力に努められるよう必要な措置をとります。

(国、県と他の市町村との協力)

第24条 町は、環境の保全と創造に関する広域的な取り組みを必要とする施策について、国、県、他の市町村などと協力して、その推進に努めます。

(財政上の措置)

第25条 町は、快適な環境の保全と創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置をとります。

(推進体制の整備)

第26条 町は、環境の保全と創造に関する施策を総合的に、そして計画的に進めるため、町の組織間の連携や調整、又は実現を図るための体制の整備、職員の研修と教育、その他の必要な措置をとります。

(町民などの施策への参加)

第27条 町は、快適な環境の保全と創造に関する施策の推進を図るため、町民などの参加と協力が得られるよう必要な措置をとります。

第4章 環境審議会

(設置と所掌事務)

第28条 環境の保全と創造に関する基本的事項について審議するため、大河原町環境審議会(以下「審議会」という。)を設置します。

2 審議会は、町長の諮問を受け、又は独自に次の事項を調査審議し、町長に意見を述べることができます。

(1) 環境基本計画の策定と変更に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全と創造に関すること。

(組織)

第29条 審議会は、委員10人以内で組織します。

2 委員は、環境や景観、住民生活についての知識や経験、意見を持つ者のうちから町長が委嘱します。

(任期)

第30条 委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とします。

2 委員は、再任することができます。

(会長と副会長)

第31条 審議会に会長と副会長を置き、委員が互選により定めます。

2 会長は、審議会を代表し会務を総理します。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときや会長が欠けたときは、その職務を代理します。

(会議)

第32条 審議会の会議は、会長が招集し、会長がその議長となります。

2 審議会の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができません。

3 審議会の議事は、出席した委員の過半数で決められ、可否同数の場合は、議長が決めるものとします。

(庶務)

第33条 審議会の事務を処理するため、町民生活課内に事務局を置きます。

第5章 雑則

(委任)

第34条 この条例の施行について必要な事項は、町長が別に定めます。

1 この条例は、平成21年4月1日から施行する。

〔次のよう〕略

大河原町環境基本条例

平成21年3月16日 条例第11号

(平成21年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第4章 環境保全
沿革情報
平成21年3月16日 条例第11号